はじめて葬儀に参列して、 こんな失敗をしたことはありませんか?
失敗はなくても他の人が失敗しているところを見たり、聞いたり事はありませんか? このような失敗は決して恥ずかしがることはありませんが、前もって失敗例やその後の対処法を知っているだけでも、いざというときの振る舞いとして役立つかもしれませんので、目を通しておいてください。
例1:お正月に知り合いの葬儀に参列した際、受付で懐かしい人と再会し、つい「明けまして、おめでとうございます」と言ってしまいました。「はッ!」と気が付くと、冷たい視線を感じ、そわそわしてしまいました。

新年早々の葬儀では、普段のあいさつがつい口から出てしまうことがあります。しかし「おめでとう」はお祝い言葉。悲しみの場では「ご愁傷様です」「お寒い中お疲れ様です」など、気持ちを添える言葉に置き換えると良いでしょう。
その他にも、次のような言葉もあります。
◆一般的な遺族や関係者への挨拶例
「このたびはご愁傷様でございます。」 「寒い中お疲れさまでございます。」 「突然のことで驚きました。お力落としのことと存じます。」 「お久しぶりです。こんな形でお会いすることになるとは…。」 「ご無沙汰しております。ご遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。」
◆少し柔らかく・会葬者同士の挨拶としての例
「お久しぶりですね。ご家族も大変だったでしょうね。」 「お寒い中ですが、お元気でいらっしゃいますか。」 「こういう場でお目にかかるのは心苦しいのですが、お会いできてうれしいです。」 「お変わりありませんでしたか。」 「年明け早々でお疲れのことと思います。どうぞご自愛ください。」
◆これだけは絶対に避けるべきNGワード例
「明けましておめでとうございます」 「今年もよろしくお願いします」 「新年早々大変ですね」
例2:お葬式がキリスト教式とは知らず、何の疑いもなく「御香典」と書いた香典袋を持参しました。受付で間違いに気づき、冷や汗が止まりませんでした。

香典袋ひとつにも宗教ごとの違いがあります。キリスト教式では「御香典」は使わず、「御花料」や「御ミサ料」とするのが一般的です。ただ、間違えた場合は宗教間の形式よりも、故人やご遺族の信仰や習慣への配慮が何よりのマナーと言えるでしょう。そのため、前もって故人の宗教を調べておくのが良いでしょう。もしも、式場で間違いに気が付いた時には、慌てずに次のような行動も一つの手です。
◆そのまま渡さずに、表書きを隠す
・封筒の上に白い無地の封筒や半紙をかける。 ・受付で渡す際に、「中身はこちらでお願いいたします」と、表書きを見せずにそっと手渡す。
(受付の方は慣れているため、丁寧な態度であれば問題視されません)
◆受付で気づいた場合は、正直に伝える
「宗派を勘違いしてしまいまして、失礼がありましたらお許しください。」
とひとこと添えると、誠意が伝わります。
わざわざ書き直す必要まではなく、気持ちを込めて差し出せば大丈夫です。
◆時間があるなら、近くの売店・コンビニなどで「御花料」袋を購入する
・都心や大きな斎場では宗派別の袋を販売していることも多くあります。
・もし可能なら新しい袋に中身を移して書き直すとより丁寧です。
◆どうしてもそのままの場合
・仏式の香典袋でも「香典=お悔やみの心」と受け取ってくれる方がほとんどです。
・無理に取り繕うよりも、静かにお悔やみの言葉を添えて渡す方が自然です。
例3:社会人1年目の若かった頃、唯一持っていた黒いバッグを持ってお葬式に行きました。ところが金具が金色、近くのおばさんから耳元で「ゴールドの金具はだめなのよ」とのアドバイス。お葬式の間中ずっと金具を手で隠して乗り切りました。

喪の場では、バッグや靴の金具にも気を配るのが基本です。とはいえ、誰にでも「最初の一度」はあるものです。そのような時は、その場を丁寧にしのいだ姿勢こそ、マナーの心そのもの。「装いより、心を整える」ことを忘れなければ大丈夫です。
◆喪服用のバッグは、光沢や金具のない布製が基本。
もし手持ちが金具付きなら、ハンカチなどで軽く隠して対応してもOKです。
形よりも、場をわきまえる気持ちと落ち着いた振る舞いが何より大切です。
例4:初めて一人でお葬式へ参列した時のこと「焼香はどうあげるんだっけ?まあ前の人のマネをすれば良いや」と予習せずに向かったら・・・前の人は背中しか見えません。もう調べる時間もない! わけも分からず大量の抹香をつまんでしまい、しかも3回もお焼香。すると、もくもくと煙が立ち込めはじめ、場内はざわざわとした雰囲気に・・・

お焼香のあとに「あっ、間違えた!」と思っても、立ち止まって直そうとするより、何事もなかったように静かに一礼して席に戻るのが最善です。
弔事では「落ち着いた態度」そのものが礼儀です。
式が落ち着いた後で受付の方や知人に「初めてで、焼香の作法がよく分からず失礼がなかったでしょうか」と一言添えると良いでしょう。真摯な姿勢は必ず伝わります。
例5:焼香待ちで並んでいる時のこと、鼻の調子が悪い私は、焼香の煙で終始鼻がムズムズ。さて私の番。ついに我慢が限界を超え「ハ、ハ、ハックショーンッッ!」まるで漫画みたいに、くしゃみで抹香も灰もまき散らしてしまいました。

◆くしゃみのあと、慌てずに一礼
くしゃみをしてしまった後は、動揺して手をばたつかせたりせず、軽く一礼して静かにその場を整えるのが一番です。
受付や係の方が後で片づけてくださるので、自分で灰をいじるより落ち着いて離れる方がスマートです。
◆ハンカチや袖で口元を押さえる
順番を待つ間にムズムズを感じたら、ハンカチで鼻や口にあてておくことで、くしゃみを抑えやすくなります。
◆周囲へのひと言フォロー
もし周囲に灰がかかったり、音が大きくて驚かせてしまったら、「申し訳ありません」と小さな声で一言伝えれば十分。恐縮しすぎず、落ち着いた態度が一番のマナーです。
◆【次に備えるためのポイント】
・焼香の煙や香りが苦手な人は、式前に軽く深呼吸しておくと落ち着きます。
・鼻炎の薬やポケットティッシュを持参しておくのも安心できます。
・焼香台のすぐ前ではなく、少し下がった位置から順番に呼ばれるまで待機するのもおすすめ。
・くしゃみが出そうなときは係員に少し順番をずらせてもらうのも一つの方法です。
